2016年6月23日木曜日

『毎日食べたいお菓子のヒミツ』 青木松風庵・取材協力


お菓子は人生に寄り添うもの。

この本にはそんな風に人々の毎日に寄り添い、少しでも良い物を届けたいという
青木松風庵で働く人々の信念が詰め込まれている。

”おしゃれ”という名前の人気のいちご大福があるお店。
読む前のイメージはそれだった。
群馬県から見ると大阪は遠く、文化や食の好みも違う
関西方面のお店のことはあまり詳しくない。
しかも関西方面でまず最初に目が行ってしまうのは和菓子の最盛地で
ある京都ばかり。
そんな中でこの本を手に取ったのは表紙のどら焼き(関西ではみかさ)が
あまりに美味しそうだったからだ。

(余談ですが…
ちょうどこの頃、お店で毎日作るどら焼き(私が生地をこねさせてもらっていた)が
上手く焼けないことが多く、何が悪いのかをひたすら考えていました。
不器用な私はすぐにはそれを修正することが出来ず…。
ならば、と色々なお店のどら焼きを買ったりレシピ本の配合を見たりして
なにかしらの改善を図ろうとしており、
そこでたまたま見つけたのがこの青木松風庵の
”毎日食べたいお菓子のヒミツ”でした。)

写真を見るだけでも伝わってくる、きめ細やかな皮。
中に挟まれている餡は程よい粒感がありツヤツヤ。
これはもう美味しいに違いない、そう思わせるどら焼きはなんと毎朝5時から、
多い日では1日に3万個以上作られるというからなんとも驚きだ。
材料は生地に使う小麦粉から主役の餡を作る小豆まで全てにこだわり、
一切の手を抜かない。それなのに値段は誰もが手に取りやすい価格になっている。
しかも常に新鮮な作りたてをお客様に提供できるように、工場からの
トラックは1日3便。
38店舗どこへ行っても変わらぬ美味しさを届けたいという
代表取締役の青木さんの信念がどこまでも揺るぎない。

たくさんの商品があればそれぞれに力が分散してしまって、どこかが”ヌケ”に
なってしまいそうなものだが、青木松風庵のお菓子にはそれがない。
一つ一つがこだわりぬかれて作られている。
昔からのレシピを引き継ぐだけではなく、より良い物を作りたい
という思いから常に作り方も見直されているようだ。

しかも、そんな抜群のお菓子たちをさらにお客様に気持ちよく
買って頂きたいというおもてなしの心が素晴らしい。
奥様のまゆみ専務が始められたという”一期一会の思いを込めた「お茶出し」”の
お話が私はとても素敵だと思う。
お店に来てくださる方に少しでも安らぎの時間を過ごして欲しい、
そんな思いやりの心が青木松風庵の販売員の方たちに宿っているからこそ、
多くの人々に愛されるお店になっているのだと思う。

そして何よりもこれらの良さを生み出していると思われるのが
青木松風庵では働く人たちの事を「従業員」とは呼ばず、
同じ志を持つ「仲間」と呼ぶ(p128)ということではないだろうか。
ここで働く人は工場の一つの駒などではなく、皆が大切な役割を担っていて
上下関係や他店舗などという枠組みを超えた”仲間”なのだ。
それはもうこの表紙のどら焼きの様に、丸い一つの輪=和となって
大きな暖かさをお客様に伝えていくに違いない。

和菓子は、”和む”菓子と書く。
人々の毎日にそっと寄り添い、和ませる。
そんなお菓子を私も作っていきたいと思う。


【文責 加部 さや】


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『毎日食べたいお菓子のヒミツ』
青木松風庵・取材協力 幻冬舎


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2016年6月13日月曜日

『あすか』 竹内結子・主演


朝ドラに和菓子職人が初登場!
1999年放送 竹内結子さん主演デビュー作

個人的な話で大変恐縮ですが、
2000年の6月に結婚した私にとって、
このドラマは、本当にタイムリーでした。

和菓子屋さんとか和菓子職人なんて、
そんなにドラマチックじゃありませんよ。
地味な仕事の一つだと思います。

でもこのドラマのおかげで、この時期だけ
全国的に「和菓子職人」が注目されました。
結婚の背中を押して頂いたかもしれません(笑)

しかし、放送から16年が経ち、
内容をほとんど思い出せないのも寂しく
DVDを取り寄せて改めて拝見しました。

和菓子の美しさに魅せられた少女「あすか」が、
「一生一品」という和菓子職人の究極の目標に向かって、
様々な困難にもめげず、力強く、
そして懸命に生きる姿を爽やかに描く
(DVD解説文より)

現在でも活躍中の竹内結子さんの初々しい演技。
中でも、和菓子職人になる決意を示すために、
身を清めてさらしを巻き、
家族が断髪するシーンと、
藤木直人さんと結婚するシーンは、
息をのむ美しさでした。

しかし、「あすか」は健気で無垢な感じではなく、
元気でちょっと生意気な役どころです。

良いお菓子もたくさん作りますが、
「フルーツ羽二重」
「葛とろりん」
など、老舗を傾かせるような不思議なお菓子を
全力で作ってしまいます。

こんな時に、彼女を正しい方向へ導いたのは…
茶道の宗匠「松坂太兵衛」役の金田龍之介さんです。

金田さんの円熟した芝居は、
とても演技とは思えません。
本物の宗匠そのものです。

時には厳しく、時には深い愛情をもって、
素晴らしい菓子とは何か、
諭してゆくのです。

私にとって、
このドラマの一番の見どころは、
金田さんの演技とお言葉でした。
「良い菓子とは何か?」
すべての和菓子職人の心に刺さる
素晴らしい宗匠役でした。

ドラマの中で何度も
漫画「美味しんぼ」のように、
「和菓子対決」が行われます。

当時は
一視聴者として楽しんでいました。
今となっては、
「もし和菓子対決のお菓子を考える仕事を依頼されたら?」
と、自分事として見てしまいます。

製菓指導をされたのは、
京都を代表する老舗「塩芳軒」の
高家昌昭さん。

この本棚でもレビューした
日本を代表する10人の名人の1人として登場しています。

対決を通して、あすかや視聴者に、
良い菓子とはなにか、
菓子で表現しなくてはなりません。

勝者と敗者の菓子、
両方を考えねばならず
とても難しい仕事だったと思います。

「一生一品」
死んでも残る菓子とは?
金田さんや竹内さんの熱演とともに
和菓子職人としての原点を
考えさせてくれるドラマです。

【文責 宮澤 啓】

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