『あすか』 竹内結子・主演


朝ドラに和菓子職人が初登場!
1999年放送 竹内結子さん主演デビュー作

個人的な話で大変恐縮ですが、
2000年の6月に結婚した私にとって、
このドラマは、本当にタイムリーでした。

和菓子屋さんとか和菓子職人なんて、
そんなにドラマチックじゃありませんよ。
地味な仕事の一つだと思います。

でもこのドラマのおかげで、この時期だけ
全国的に「和菓子職人」が注目されました。
結婚の背中を押して頂いたかもしれません(笑)

しかし、放送から16年が経ち、
内容をほとんど思い出せないのも寂しく
DVDを取り寄せて改めて拝見しました。

和菓子の美しさに魅せられた少女「あすか」が、
「一生一品」という和菓子職人の究極の目標に向かって、
様々な困難にもめげず、力強く、
そして懸命に生きる姿を爽やかに描く
(DVD解説文より)

現在でも活躍中の竹内結子さんの初々しい演技。
中でも、和菓子職人になる決意を示すために、
身を清めてさらしを巻き、
家族が断髪するシーンと、
藤木直人さんと結婚するシーンは、
息をのむ美しさでした。

しかし、「あすか」は健気で無垢な感じではなく、
元気でちょっと生意気な役どころです。

良いお菓子もたくさん作りますが、
「フルーツ羽二重」
「葛とろりん」
など、老舗を傾かせるような不思議なお菓子を
全力で作ってしまいます。

こんな時に、彼女を正しい方向へ導いたのは…
茶道の宗匠「松坂太兵衛」役の金田龍之介さんです。

金田さんの円熟した芝居は、
とても演技とは思えません。
本物の宗匠そのものです。

時には厳しく、時には深い愛情をもって、
素晴らしい菓子とは何か、
諭してゆくのです。

私にとって、
このドラマの一番の見どころは、
金田さんの演技とお言葉でした。
「良い菓子とは何か?」
すべての和菓子職人の心に刺さる
素晴らしい宗匠役でした。

ドラマの中で何度も
漫画「美味しんぼ」のように、
「和菓子対決」が行われます。

当時は
一視聴者として楽しんでいました。
今となっては、
「もし和菓子対決のお菓子を考える仕事を依頼されたら?」
と、自分事として見てしまいます。

製菓指導をされたのは、
京都を代表する老舗「塩芳軒」の
高家昌昭さん。

この本棚でもレビューした
日本を代表する10人の名人の1人として登場しています。

対決を通して、あすかや視聴者に、
良い菓子とはなにか、
菓子で表現しなくてはなりません。

勝者と敗者の菓子、
両方を考えねばならず
とても難しい仕事だったと思います。

「一生一品」
死んでも残る菓子とは?
金田さんや竹内さんの熱演とともに
和菓子職人としての原点を
考えさせてくれるドラマです。

【文責 宮澤 啓】

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