『なごみのまんじゅう手帖』 佐々木ルリ子 菅原すみこ・著



日本全国のまんじゅう大集合!!

まんじゅう、饅頭、万頭・・・。書き方は色々あれど、日本人なら
誰しも”まんじゅう”と聞いて頭に思い浮かべるものがあるはずだ。

”モクモク上がる湯気に蒸されたふかふかの皮の
手で持って大きすぎない1つの中に、まったりと甘い餡が包まれていて、
一口食べればまさに『和む』という言葉がふさわしいお菓子。”
私のイメージはそんなところ。

近所の和菓子屋さんだったり、観光地や温泉地、
ちょっとした集いの場に、まんじゅうはちんまりとその存在感を主張している。

そもそもまんじゅうの定義ってなんだろう。
ふと思い立ち改めて調べてみると、
饅頭は、小麦粉などを練って作った皮で小豆餡などの具を包み、蒸した菓子。
中国の饅頭が変化してできた和菓子の一種。(ウィキペディア参照)
とある。つまり、おおまかに言うと皮と具があれば
ほとんどがまんじゅうといっても差し障りないということだ。
だからだろうか、日本全国にはまんじゅうと名のつくものがそこら中に
あるといっても過言ではない。

そんなまんじゅうを北は北海道から南は沖縄まで
一冊に集めたのがこの本、『なごみのまんじゅう手帖』。
知っているものから知らないものまで、まんじゅうの魅力が
ぎっしりと詰め込まれている。

揚げまんじゅうや栗まんじゅう、チーズを使ったものなど、
種類別に分けられているのでとても読みやすい。
というかむしろ分けられていなければ混乱してしまいそうなほど
まんじゅうの情報でいっぱいだ。

さらに本書では女性ならではの観点で見た
まんじゅうの可愛さというようなものも全面に押し出されている。

私はつい食べるのに夢中になって忘れてしまいがちな
まんじゅうの包み紙やシール(p24,p46)。
これらはまんじゅうの作り手の個性が表されていたり、売っていた
場所の名物が描かれていたりして、まんじゅうだけでなくその背景を
想像する楽しみにもなったりするのだ。

そしてこの本で1番のお気に入りはp102からの
”わたしの好きなまんじゅう”というくだり。

筆者のお二人が”たくさんの人におすすめのまんじゅうを
挙げていただきました”とするこのページには、お二人のご友人や
お知り合いの方なのだろうか、いろんな人々が各々の好きなまんじゅうを手に、
にこにこと満足気にしている写真が掲載されているのだ。
それぞれのコメントも付いていて、なんだか見ているこっちまで
嬉しくなるようなそんな素敵な紹介ページになっている。

読み終わる頃には私もすっかりまんじゅうが食べたくなってくる。
次あそこへ行った際にはあのまんじゅうを買って食べよう、
少し足を伸ばしてあそこへも寄ってみよう。
そんな風にいつの間にか意識の隅にある”まんじゅう愛”を
呼び起こしてしまうそんな一冊。

ふっと表紙を見てみれば、青と白の水玉模様も
まんじゅうに見えてくるような気がしないでもない。

【文責 加部 さや】


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『なごみのまんじゅう手帖』
佐々木ルリ子 菅原すみこ・著 河出書房新社


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