『美食の王様 スイーツ』 来栖けい・著

25歳にして行ったお店の数は6,000軒以上!
強靭な胃袋と鋭敏な味覚とあくなき好奇心から
「食べる天才」と称された著者が
珠玉の和洋スイーツをランキング形式で紹介

私も来栖さんに負けないくらい甘いものが大好きです。
この業界に入ってから、
評判の良いお店には直接行ってみる、
噂のお菓子は必ず食べてみる、
伝説の職人には直接会ってみるよう心がけています。

そうはいっても、来栖さんの行動ぶりは尋常じゃありません。
本書を発行した時点で6,000軒の食べ歩き実績。
36歳になった現在では20,000軒を超えたようです!

人がモノを判断するとき、
必ず比較する対象が必要です。

○○より美味しい、
という積み重ねが味覚を磨くと思うのです。

本書の前書きで、来栖さんはスイーツを
「1日100個単位で食べ尽す」
こともあると記しています。

これは頼まれてできることじゃありません。
食べることが好きで好きで、
好奇心に突き動かされて、
取材とか仕事じゃなくて食べ尽すわけです。

ゲーム好きの少年が、
朝から晩までゲームに夢中になるように、
朝から晩まで食べ尽す。
これこそが、来栖さんのスタイルです。
(写真は3rdplacecafeさんのブログより)

圧倒的な件数のお店を、
ジャンルを超えて食べ歩いた著者の味覚は、
読者にとって大きな宝物だと思います。

たって、自分で食べ歩こうと思ったら、
時間もお金も物凄くかかりますから。(笑)

そんな何千件も食べ歩いた中から、
究極の和菓子・洋菓子を、
店と商品別々にランキングで紹介しています。
(ランキングこそがこの本の肝なのでご紹介は控えます)

本書は文章のみ、写真なしですが、
出版当初はインターネットと本書は連動していて、
本書のお店やお菓子の写真は、
ネット上で確認できる画期的な本でした。
(現在はネットでの紹介はされていません)

私もこのランキングにどれだけ助けられ、
幸せな想いをしたか数え切れません。

味覚は人それぞれですし、
和洋菓子店で感動するのは、
味だけではないファクターがたくさんあります。

商品・店舗・接客サービス・歴史・地域客層など、
どこに焦点を当てるかによって、
お店の評価は変わります。

「京菓子」というジャンルだけに絞ってしまえば、
の方が詳しいかもしれません。

そうだとしても、
食べる天才が25歳の時に世に問うたこの本を、
私は一生大切にし、何度も読み返すでしょう。

圧倒的に比較することの大切さを、
美味しかった感動を、
自分らしい表現で伝えることの大切さを、
来栖さんは教えてくださいました。

ただ、来栖さんの進化はここで止まりません。
現在では、評論活動を一切休止し、
今まで培った味覚と美意識を、
実際の店舗で提供しています。


詳しくは上記リンクの熱いメッセージをご覧ください。
そちらで提供されるモンブランがコチラ。
和菓子「きんとん」の技法が生かされたモンブランに、
見ただけで感動してしまいました。
なぜ、今まで誰も思いつかなかったのか?
食べなくても美味しさが伝わってきます。

来栖さんの今後から目が離せない。
そして、私たち和菓子職人も、
和洋問わず、
圧倒的に食べることを楽しむことで、
お客様の更なる感動に貢献したいものです。

【文責 宮澤 啓】

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