『おやつのない人生なんて』 伊藤まさこ・著



「おやつのない人生なんて!!」

甘党(辛党も?)の人ならだれでも一度は
思ったことがあるんじゃないだろうか。
私もその中の一人。
「明日からあなたはおやつを食べてはいけません。」
なんて言われたらきっと酷くショックを受けるだろう。
おやつ好きの人たちにとって、おやつは三度の
食事とは違う大切な時間。
仕事や家事の合間だったり、勉強の休憩中だったり、
いつでもおやつの時間はちょっとした幸せを与えてくれる。

でも一言におやつと言っても何を食べているかは人それぞれだ。
小さい頃から食べ慣れているもの、流行りのスイーツ、
旅先でしか買えないお菓子など、その人の暮らしている環境や
好みによってきっとみんな色々なものを食べている。
もしかしたら食べているおやつを見たらその人の
人間性も分かって楽しいかもしれない。

そんな面白さが詰まった一冊がこの、伊藤まさこさんの
「おやつのない人生なんて」。
とある雑貨屋で見つけたこの本には”大人のおやつ事情”
が垣間見えて、思わずわくわくしてしまった。

おやつというからにはもちろん和菓子、洋菓子、
軽食といった類のものも含まれているのだけれど、
一人の人が好んで食べるおやつはどこか一貫していて
こんなところがお気に入りのポイントなんだろうなぁ、
と想像しながら読めるのもいい。

p60からの”あんみつブーム”のお話は和菓子好きとしては
気になるところ。たまにおやつのブームが来て、
続けざまに同じものを食べてしまうというのにも納得できる。
それにまだ日本各地に素敵な甘味処があるのがわかったので、
旅行に行った際にはぜひ訪れてみたい。

p84にはいつか必ず食べてみたいと思っている名古屋の
芳光のわらび餅が登場する。
思い浮かべただけで口に入れた瞬間のあの幸せがよみがえります
という言葉に、わらび餅の美味しさがすべて
詰まっているような気がする。

その他にも、どれも一度は食べてみたいおやつばかり。
伊藤さんのように日本中を飛びまわれるわけではないけれど、
近場からでもぜひ立ち寄ってみたいところ。
この本で紹介されているおやつのお店はどれも巻末に
情報が記載されているので、この本を携えながらおやつ巡りの旅、
なんていうのもひとつの楽しみ方になりそうだ。

【文責 加部 さや】


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伊藤まさこ・著 筑摩書房


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