『日菓のしごと 京の和菓子帖』 日菓・著


京菓子は宮中行事や茶道など
高貴な方々の雅な食文化として発展してきました

意匠は絵図帳に記録されて
300年以上脈々と受け継がれ、磨かれ
現在もなお作り続けられています

中山圭子著 江戸時代の和菓子デザインより

菓銘は単なる名前にとどまらず
1000年以上前の和歌などに起因するものも多数あり
菓銘を聞いただけで
秘められた和歌を想起するのが
和菓子を供される雅人の教養とされていました

高貴な京菓子を
デザイナーの視点から
日本文化を代表する「食べられる芸術」
という視点で編纂された写真集が
『和の菓子』

この本に感動して和菓子の世界に飛び込んだ
2人の女性和菓子職人の創作活動が
日菓さんの原点だという

しかし、和菓子が高貴な方だけの
密やかな楽しみではあまりにももったいない

普通の庶民でも、
子供でも、女子高生でも、お年寄りでも、
見て美しく、食べておいしい
日常の楽しみの一つになって欲しい

そんな想いが日菓さんのお菓子から感じられるのです
でも、単に斬新だったり、
カジュアルだったりするのではなく、
あくまでも京菓子の伝統と技法を用いて表現しています

日菓さんが創作した80点の作品の中から
たった1点だけ紹介するとしたら
『アポロ』

膨大な手間暇をかけすぎたら
それは芸術かもしれないけど菓子でなはい

これ、京菓子だなって思いました
シンプルで抽象的な意匠に
旬の菓銘を添えることで
召し上がる方に無限の広がりを感じてだく

自分はとても真似できない感性のお二人に
和菓子の新しい可能性と楽しさを教えて頂いた一冊
今後のご活躍もとても楽しみです

日菓さんのHP
 
あまりにも可愛らしい

日菓さん紹介記事
Vantan FJapon アイカーブ2008

そうだ 京都、行こう。 京の人に聞きました

朝日放送 LIFE ~夢のカタチ~
http://asahi.co.jp/life/backnum/130330.html



日菓さんの存在は、恥ずかしながら知らなかったのですが
調べているうちに
注目の女性和菓子職人はまだいることが判明

和菓子店 青洋 青山洋子さん
http://wagasiseiyou.petit.cc/banana/

青山さんも単に和菓子の仕事に邁進するに飽き足らず
「個展」を通して作品を発表したり
和菓子作りの講師をやられてりしています

特に錦玉の色遣いが絶妙で心を奪われます

色を喰らう展
http://bizarre-kyoto.cocolog-nifty.com/blog/2011/02/post-3220.html

COCON烏丸 リレーコラム Vol.48
http://www.coconkarasuma.com/column/column48.html

episteme 日本の美を求めて Vol.6
http://episteme-net.jp/column2/epiism/vol06.html



日菓さんにしろ、青山さんにしろ
京菓子の技術と教養が基礎にあってこその創作活動です
その根幹を教育された方は
老松の太田達さん
GUCCI オフィシャルブログ
京菓子司 太田達さんと和菓子を作る
http://ameblo.jp/guccijp/entry-11380866097.html
※GUCCIのブログだけあって写真も動画も超高品質

数寄者と評されるほどの
茶人であり文化人でもある太田さんが
日菓さんと青山さんの「技」と「心」のパトロンだ

特に日菓さんほどの人気和菓子ユニットを
「老松」に抱え込まず自由に活動させ
新刊の著者プロフィールにも
ひとことも「老松」を名乗らせない

京菓子文化の新しい扉を開くために
あえてそうしているのだと思いますが
人としての器の大きさに圧倒されます

日菓さんの新刊を通して
青山さんや太田さんに出会えたことにも
本当にありがたいことと感謝いたします

【文責 宮澤 啓】

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『日菓のしごと 京の和菓子帖』
日菓(内田美奈子+杉山早陽子) ・著 青幻舎


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同じ女性和菓子職人としてスタートを切ったばかりの
新人・加部ちゃんの感想もあります
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お気に入りを探す旅。

赤いバラの咲いた表紙を開けば、そんな旅が始まる。

そこには見たことのないようなお菓子の数々。
モチーフにしている題材も様々だ。

たとえば、「うさぎ餅」。
真っ白な外郎生地にうさぎの手形がひとつ。
菓子自体はうさぎの形をしているわけではないのに、
そこからはうさぎの愛らしい姿が見えてくる。

あかり」は、その言葉から想像できる物は
人によって色々なものがある。
その中で、筆者の二人が作ったのは”和菓子の電球”だ。
私の少ない知識や経験の中ではこうした題材を使った
お菓子は見たことがなくて、とても驚いた。

そのほかにも、「空のセリフ」や「梅干しのキス」、
ドロン」など、名前を聞いただけでどんなお菓子なのかと
想像してワクワクしてしまうようなものがたくさんある。
そんなふうに、名前から、そこに添えられた言葉から、
見る(食べる)人を楽しませる心意気が
彼女たちの和菓子からはあふれている。

私が見つけた”お気に入り”はふたつ。
電車ごっこ」は、その名前とお菓子の丸みがかった
輪の形から幼い頃の記憶が蘇り、
なんだか楽しく暖かい気持ちになった。

もうひとつの「バラ色の人生」は、
くるくるとまかれた朱色の生地の手前に大小二人分の
夫婦の足跡が並んでいて、未来への希望と
作り手の祈るような気持ちが伝わってくる気がした。

そんな筆者二人の楽しさやおもしろさをギュッと詰めた
お菓子の数々に、読む人はきっと笑顔になっているはず。
ぜひ、いろいろな人が読んで
それぞれのお気に入りを見つけて欲しい。


【文責 加部 さや】

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